こんにちは。Blissです。
20年ぐらい前に観たいなと思ったまま一度も観ることがなかった映画があります。
なぜなら、タイトルからもう、悲しみが溢れてそうな映画なので、観てみた行けど怖くて観れなかった、というのが正解です。
それから早20年近くたち、先日アマプラで見かけてしまった私、ああ、これが最後のチャンスなのですね神様…と、意を決して観ることにしました。
その映画とは『死ぬまでにしたい10のこと』
・・ほらね、もうタイトルからして悲しい!笑
ある日突然、余命を告げられた23歳のサラが自分の短い半生を見つめ直し、死ぬまでに叶えたいこと(=バケット・リスト)を10個作り、誰にも言わずそれを叶えていくという、なんとも切ない内容です。
でもそこはアメリカ映画ですよ。
私の予想では、どうせハッピーな内容なんだだろうとタカをくくっていました。
↓よくあるこんな内容ですかね。
余命を告げられたサラは、愛情を注いでくれる「理解ある夫」と、ちょっぴりお節介な両親、そしてサラを慕う仲間たちに囲まれ、わずかな可能性をかけて病気と闘う決意をする。
しかし、刻一刻とその時は迫っていき・・死ぬまでにしたい10個のバケットリストを無事叶え終わり満身創痍のサラは、愛する家族や仲間に囲まれながら天国へと旅立っていく・・(Fin)
↑こんなストーリーを想像するでしょ??
残念!全然違〜う!
多分、ハッピーエンドを期待している人はバッサリと裏切られる映画です。
むしろ私は上記のようなゴミ展開 …ありきたりなストーリーじゃなくて良かったと思ってます。
あなたの想像するハッピーエンドじゃありません。
悲しいことに主人公のサラはその若さもさることながら、小さい娘が2人を育てている若いママでもあります。そして旦那のドンは現在無職という悲しさ。
アメリカ映画で貧困層の象徴として良く出てくる、あの誇り高きトレーラーハウスに家族4人肩を寄せ合って住んでいます。
さらにこれだけではありません。
サラの父親は何かの重罪で刑務所に入ったままでしょうか。
サラの家の真横に住む母親がいるのですが、サラが毎日パート先まで送り迎えをしてあげているものの、なんか仲悪そう。
そこはかとなく、娘のサラとの間に確執があるんだろうと感じさせる演出。
出だしから色彩を抑えた薄暗いトーンの風景が続き、
殺伐として覇気のない病院の描写、そこからまさかの病気発覚。という展開ですら淡々としているのに、
サラは病気であることを家族に隠し、墓まで持っていく決意をします。
バケットリストとこれからの短い余生を天秤にかけ、これまでの浅はかな自分の人生と決別する覚悟を決めた、最後の命のともし火を燃やす10個のリスト。
ただのバケットリストではなく、一家の明暗を分けるような秘密を隠していて、そのリストが物語のキーとなるのです。
登場人物に関してはここまでにして、観ていただくとして、
私がすごく興味を惹かれたのは演出でしたね。
不思議とアメリカ映画の雰囲気がしなくて辛気臭いのは、
アラスカの郊外の港町が舞台だからでしょうか。アメリカらしくないというか、しっとりとした色合い。
例えるなら、フィンランド映画『街のあかり』や、同じくフィンランド映画『好きにならずにいられない (原題:FUSI )』のような世界観というか、映像の造り込みの湿っぽささを感じました。
ところがなんです。
ある人物が出てくる時だけ、全体を覆っていたダークで無彩色な色彩がパーッと明るくなり、鮮やかな色が増えてきます。
ここは見事としか言いようがない!
そこはどの辺なのって話ですが、まあストーリー展開とリンクしているとだけ。
あとは観てください。
一度きりの人生でやりたいことより「やりたくなかったこと」を探る
病気を告げられ余命わずかな主人公が最後に「人生でやりたいこと」をこなしていくという、同じようなストーリーの映画は意外とあるんですよね。
だけど、この『死ぬまでにしたい10のこと』が他の映画と決定的に違うところは、
「人生でやりたくなかったこと」にもちゃんと焦点を当てているところでしょうか。
やりたくなかったこと、とは後悔していることも含まれるのかもしれませんが、
自分を失って周りに流されるがままだったことなども「やりたくなかったこと」に入りますかね。
この辺ついてはすごく共感できましたし、その気持ち分かる!と声も漏れそうになりました。
日本人の女性でも感情を揺さぶられるような、すごく繊細な演出で考えさせられる映画ですね。
この映画を観たからってすぐ
「元気が出た!よっしゃ、私もバケットリストを作ろう!」と前向きになる、
そんな元気が出る映画ではないことを付け加えておきます。
だけど、すごく心が満たされる良い映画。 (⬅︎語彙力がない)
ぜひぜひ。
では!