テキトーエレガンス

テキトーでも人生うまくいく!

【田舎あるある】家族が入院したらコロナだと噂された話


こんにちは。BlissBliss⋆*@テキトーでもうまくいくです。

いやーやられちゃいました…

先日、母が亡くなり急きょ帰省したのですが、家族が深い喪失感にいるさなか、耳を疑いたくなるような事実が飛び込んできました。

実家の近所の人に「〇〇(うちの実家)さんの奥さんはコロナらしい…」とガセの噂を広められちゃいました。

悔しいやら悲しいやら、予想外のことが起きると笑うしかないようです。

その疑いはすぐ晴れたのですが、噂を広めた張本人にはいまだにモヤモヤしています。

まず何でそんなことが起きるのか、田舎の特有の背景も含めて経緯をお話ししたいと思います。

田舎に必ずいるスピーカーおばさんの存在

田舎には必ず、ある事無い事をまるで見てきたかのように周りに言いふらす「スピーカー📢 おばさん」と呼ばれる人がいます。

一度このスピーカーおばさんに何らかの話が漏れると大変!!

たいてい、噂は尾ひれをつけて拡散されて次の日には住民の端から端まで到達しています。

田舎の噂の速さはよく、「〇〇さんが入院した」という話が、地域の端に到達する頃には「〇〇さんが死んだ」とすり替わっているなんてことがあると言われます、大げさじゃなくよくある話だと否定できないのが田舎の恐ろしさ…😱

東京からほど近い山間のふもと、ン十年も前から限界集落になっている集落に私の実家はあります。

隣近所(と言っても数えるほどしかない)は代々顔見知りの関係にあり、親世代の人は「ヨシコちゃん家」「ヨシオさん家」と下の名前で言い合いっこし、とくに古くからの世帯は屋号(やごう)がついているので屋号で呼んだりするほど濃いコミュニティーがあります。

”屋号”とは何かと言うとその世帯についている『あだ名』みたいなもので、例えば田中さん家は崖の下に住んでいるから「崖の下」と呼ばれたていたり、鈴木さんは沢べりに住んでいるから「沢べり」と呼ばれていたりと、屋号のルールに関して特に重要な意味はなさそうです。(多分)

面白いのは、自分の家が一体いつからその屋号で呼ばれているのかは誰も知らないこと(笑)。それほど古くから定着している呼び名だということですかね。

とまあ、田舎で生まれ育った人には当たり前だけど都会の人からは珍しいしきたりが分かってもらえたかと思います。

んで、話を戻します。

隣近所は何世代にも渡り長く暮らしてきた世帯なので、家族構成からセガレはどこに就職したか、セガレ夫婦に子供は何人いるかという情報はもちろんのこと、

あそこん家の長女は何時に帰ってくるのかといった1日のスケジュールもお見通しだったりします。

私の実家の近所には、この「スピーカーおばさん」が鎮座しており、この人に話をしようものなら最後、郵便より早く地域の端っこまでその噂を届けてくれるというおせっかいをしてくれるのです!

迷惑きわまりない。

田舎と呼ばれるところ、その中でも「ド」がつく田舎は情報や人の流れが停滞しがち。

暇を持て余したおじさんおばさんにとって「噂話」は、外からの情報を仲間とシェアしてお茶のネタにできる貴重なチャンスなのです。

近所のスピーカーおばさんを仮に「トシ子さん」とします。

トシ子さんは地域でも群を抜いた「拡散能力」があり、話に尾ひれをつけて広めるのは朝飯前で、さらにに隣町の人にも広げてくれちゃう破壊活動…いや、おせっかいぶりを発揮します。

(トシ子さんは運転免許もお持ちでないのに、どうやって数十キロ離れたところまで拡散しているのかナゾです…)

父曰く、地域の人たちは口を揃えて「あの人だけには言ってはいけないよ」と用心をするほどの噂好きのようです。

「かあちゃんコロナなの?トシ子さんが言ってたよ!」

自営業を営む私の父は、毎朝隣町にある仕事場まで車で通勤をしているのですが、途中にあっていつも立ち寄るコンビニの店主から衝撃的なことを耳にします。

「ねえ、かあちゃん…コロナなの?」

この場合の「かあちゃん」とは私の父の妻、つまり私の母のことですね。

驚いて開いた口が塞がらないままでいる私の父に対して、店主のおっちゃんは興味と疑いの入り混じった目でこう言ったそうです。

「かあちゃん、長く入院しているんでしょ?コロナじゃないかって…」

ショック
「い、今何て言った!?」

確かに母はこの時長く入院していました。

ある病と闘っていました。

今世界中で猛威を振るっている新型コロナウィルスではありません。

必死にがんという病と闘っていました。

母が入院している事情を説明するとすぐに疑いは晴れたのですが、悪びれもなく噂をたてて面白がっているであろう人たちのことを想像すると、父はとても腹が立ったと言います。

気になるのはガセ噂の出どころ。

コンビニの店主に聞くとガセを広めたのはあの「トシ子」さんだとすぐ判明しました。

トシ子さんの思考回路はおそらくこんな感じでしょう。

最近ずっと〇〇さんトコの奥さんの車が止まっているわ…
→ 入院しているのかしら…?
→ 長い入院だからきっとコロナにかかったに違いない!

憶測ですがおそらくこんな軽い気持ちで面白がって噂を広めたのでしょう。

ある地域では、新型コロナウィルスに罹ったために「第一号」として差別をされたり嫌がらせをされたことがあったと聞きました。

もし仮に、トシ子さんの言う通り本当に母がこの地域で新型コロナウィルスに罹った第一号だったとしたら、トシ子さんは真っ先に私の実家を差別してテキトーな噂を広め、「この地域をコロナから守ったのはこの私よ」と得意顔をしていたかもしれません。

ここで、「トシ子さんあんた…他にやることはないのか、ありもしない噂を立てるのはやめてくれ!」とトシ子さんに言い寄ったところで何も変わりません。

ムラ社会に嫁いで長年ムラの秩序を守ってきた年配者たちは、それが当たり前だと思っているからです。

その気持ちも分からなくもない。

自らも周りの人の目を気にしながら必死で子育てをしてきて、やがて子供たちは成人して自分たちの元を巣立っていく。田舎を出て行った子供たちや孫たちは地元へは戻らず、実家に顔を出すのは年に数回。

追い討ちをかけるように少子高齢化が進み、近所の人たちはどんどん老いていき、また一人、また一人と他界していく寂しさに加え、向こう三軒空き家ばかりで若い人は一向にやってこない─

社会に取り残された田舎の爺さま婆さまにとって人の家を 詮索してテキトーな噂話をするのは唯一の娯楽なのです。

噂話を広めると「あの人はいつも旬な情報を持っている」と信用されるので、トシ子さんも信用されたくて嘘か本当か分からない噂を流すことで得られる小さな承認要求を満たしてきたのでしょう。

悪いことをしているという自覚もないまま、気づけば腰が曲がっても同じことをしている─

なんだかとっても哀れに思えてきて怒りすら湧いてきませんでした。

田舎の洗礼を心得よう!

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※画像はイメージです

さてここからは恒例の田舎ディスり話になります。

田舎ってステキ!

リタイアしたら田舎で農作物を作って暮らしたい!

いつからか広まった「田舎のユルいスタイル信仰」は依然強く、ある程度金銭的にも余裕のある人ほど田舎ライフへの憧れを抱くようです。

それは大いに結構だと思います。

田舎は空気もお水も美味しいし時間はのんびり。自然のいぶきは都会の喧騒を忘れさせてくれます。

豊かな資源で経済的にも潤っている地域だと、都会の人が高いお金を出して手に入れる食材や資源などをタダで享受できちゃったり。

映画「しあわせのパン」の水島くんとリエさんのようなおしゃれで牧歌的なスロウライフも憧れますよね!

でも日本中どこ行っても誰かしらが住んでいることを忘れちゃいけません。

どこの山奥へ行っても人の住む民家があり、どこの地域にもそこに長く住んできた人たちが幅を利かせ、築いてきた秩序やルールを守って暮らしているのではないでしょうか。

日本の「ムラ社会」の成り立ちを知ると分かりますが、新しい人をできるだけ排除することで、地域を災害や犯罪・疫病や飢饉などからムラを守り団結を強めてきた歴史があるからです。

田舎の人は閉鎖的で新住民に冷たいと言われるゆえんですね。

一旦コミュニティーに入ってしまうと濃すぎる付き合いゆえ、あなたのプライバシーにズケズケと入ってきます。😱

プライバシーなんて言ったら村八分なんて田舎は上級者向けです(笑)。

人間関係が煩わしいから田舎へ移住するという発想がオススメできない理由でもあります。

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毎度毎度同じことを言っていますが、田舎では人間関係が固定されて、時間の経過とともに上澄みが蒸発して凝縮されてしまった醤油のように人間関係も濃くなってしまいます。

田舎へ行けば行くほど江戸時代かよ!ってぐらい古い風習が残ってたり、集落にしかない独自の「謎ルール」がまかり通っていたりするのはそのためです。

日本全国津々浦々、どこの田舎でもある暗黙のルールはこんな感じでしょうかね。

↓ ↓ ↓ 

・地域のボス的な家が存在する
・監視社会なので目立ったことは禁物
・消防団へ入団しろとうるさい
・すぐに噂が広まる
・地域の祭りへの参加を求められる
・奥さんは自治会役員&学校PTA役員のコンボで休む暇ない

都会から移住してきたものの、嫌気がさして引っ越してしまう移住者もあれば、

地域の集まりやお祭りなどに積極的に参加してすぐに打ち解けている移住者もいます。

大きな違いは他人と密に時間を共有できる器があるかどうかだと思いました。

早い話が「田舎特有のしきたりに抵抗ないか」ですね。

何よりも調和を大切にして”個”よりも”集”に重きをおいている田舎は、一旦心を許すと自他との境が曖昧になります。

「ウチはウチのやり方がある!」と他人との間にスパッと線を引きたい人など溶け込みにくい環境だと言えますね。

田舎の人づきあいは煩わしいけど田舎に住みたいという願望があるなら、地域と直接関わらなくても時々田舎に来て遊べる別荘の方が良いかもしれません。

何々に参加しろ、費用をカンパしろ、ウチで取れたナスを食べろ、とその境をヒョイっと乗り越えてグイグイ来ますから。

ガセ噂を広めた張本人現る!

母は1ヶ月の入院生活の後、先月末、天国へ旅立ちました。

田舎で流れているクソみたいな噂の存在を知らないまま旅立ったのが幸いです。

うちの田舎では、人が亡くなると近所の人が立ち会って故人の出棺を見送りする風習があります。

トシ子さんは近所のご婦人たちに混ざり、しれ〜っと我が家に見送りにやってきました。

久しぶりに見たトシ子さんは、一回りもふた回りも小さくなっていて「スピーカーおばさん」として知れ渡っていた頃の面影はなく、何だか急にかわいそうに思えた私。おかげであれだけフツフツと沸いていた怒りもスッと収まってしました。

とは言え「お礼参り」として、あとでこっそりトシ子さんにマウントとってやりましたけど👍

これからも私の実家とトシ子さん家との付き合いは続くでしょう。

トシ子さん家ですが、最近は遊びに来る息子夫婦や孫の姿も見なくなり、普段は来客もなくひっそりと静まり返っています。

トシ子さん本音は寂しいのかもしれない─ そんな考えが頭をよぎりました。

少子高齢化の波をモロに受け、年々寂れていくおらが限界集落。

今後は昔のような賑わいを取り戻すことはないでしょう。

空き家の壁を覆い尽くすコケを見るたび、物悲しい思いにかられるのでした。

ー終わりー