「あの映画が面白かった!」とエラそうにamazonプライムビデオで観た映画を語りますがじつはプライム会員無料映画しか見ていません。
↓私が「好んで見る映画設定」はこんな感じで偏りがあるのですが共感してもらえる人いますか??
- 地方が舞台であること
- 漂う場末感または生活臭がプンプンすること
- ローカル鉄道、または年季の入ったキハ車両がチラッと出てくる
- お酒飲みながら気軽に観れちゃうようなゆる〜い映画ならなお良し!
- 自然な言い回しのセリフであること
- 観た後の余韻がほんわかする
- 七転び八起きっぽい展開がある
あまり女子や若者受けはしない映画ばかり🤣
お前は映画に何を求めているんだ💦とツッコミはなしで。
でも確かにこの条件設定がそろったような映画ばかり観ている気がします。
私がド田舎出身なのもあるのかもしれませんが、田舎が舞台のゆる〜い映画って不思議な魅力を感じてしまいます。
今日はその「ド田舎・オブ・ド田舎(失礼)」が舞台の映画の中からひとつ、
「銀のエンゼル」を挙げたいと思います。
「水曜どうでしょう」のミスターことNACS鈴井貴之さんが監督を努めているので、当然NACSメンバーもこっそりと出演していらっしゃいます。
「水曜どうでしょう」と言えばどのシーンとは言いませんが「もじゃもじゃ頭のあの人」も出ていますよ!
以下ちょっとネタバレありです。
小日向文世がどこでもいる田舎のコンビニの店長に
北海道のとある小さな町の、周りはコンビニぐらいしかない、だだっ広いところにポツンとそびえるコンビニが舞台です。
フランチャイズでローソンを経営するオーナーの北島(小日向文世)。北島の思春期まっただ中の娘、由希。
一人娘も放ったらかしでのらりくらりと生きてきた北島ですが、ある日を境にダラけた生活に終止符が打たれることになります。
大黒柱の妻が過労で倒れたことで、急きょコンビニオーナーにならざるを得なくなった北島。
おそらく北島の人生最大(?)のピンチが訪れます。
由希は「東京の大学に進学したい」という夢を父親の北島に伝えられないフラストレーションから、ある思い切った行動に出るのですが…!
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「噂の広まりが異様に早い」田舎あるある
田舎暮らしを経験した人なら共感せざるを得ないシーンの連続で「あるある〜!」と言ってしまったのが「噂は次の日には町の外れまで広まる」というアレ。
うっかり誰かに「〇〇高校へ行く」と言ったが最後、情報通のオバちゃんに乗って光の速さで街の外れの会った事もない同級生のお母さんが知ることとなる恐怖は、個人情報保護で守られた都会で生まれ育った人には分かり得ない「田舎あるある」ではないかと。
オーナー北島の娘だる由希も何かと秘密をバラされ町中の人が由希の進路を知ることとなります。
「だからこの町イヤなんだよ・・。」
うんうん分かる😭
画面越しにヒシヒシ伝わる、田舎特有のやりづらいアノ感じ。
全員ではないけど、田舎の人って内心は田舎を出る人を快く思っていないのよね〜。
地元の同級生とか一度も地元を出た事のない人ほど、羨望と嫉妬が入り混じったようなメンドくさ〜い態度を取ってくる。
この映画にもベールのようにかぶさった「閉塞感」を上手に演出しています。
平和なコンビニに謎のバイトがやってきたけど…?
北島から一目置かれる存在でありながらすべてが謎の深夜帯のバイト・佐藤耕輔(西島秀俊)がこの映画のキーパーソンのように感じます。
終始ポーカーフェイスの佐藤は、まるで透き通った水面にポタリと垂らしたインクの染みのように不穏な雰囲気を醸し出すのですが、
一体こいつは何者なのか…周りの疑惑をピシャリとはねのけ、真面目な勤務態度に北島も心を許します。
ある夜、佐藤はこともあろうか営業中に北島に酒を勧めてきます。
とがめる北島を尻目に、じゃあ頂いちゃいますよとグイッと酒をあおる佐藤。
「ダメなことなんてないんですよ。」と呟き、
「たまには杓子定規を外して・・モノには色んな見方があるもんですね。
自分一人じゃなかなか気がつかないんですけど。」
自分の思い込みの枠の外に出ること、枠の外に意外なブレークスルーがある。と言っています。
さらに佐藤はこう続けます。
「あまり杓子定規にならず、たまにはハメを外してみるのもいいんじゃないですか。
何か違って見えることがあるかもしれません。
もちろん何もないかもしれませんが。」
──もちろん何もないかもしれませんが。
何もないかもしれないけど、自ら枠の外に出るって良いもんですよ、と、おそらく佐藤はそうしてきたのでしょう。
大人は期待しないで動くことって難しい。
結果はどうなるか分りませんと言われたら、ハイ、じゃあやりませんってなっちゃう。
大人になると、外に出てもうまくいくと確証がないと行動できなくなっちゃう。
知見が増えれば増えるほど、自分が慣れ親しんで怖くない範囲でしか動けなくなります。
これを「コンフォートゾーン」と言ったりもしますが、ぬるま湯のコンフォートゾーンにいる限り、自分は成長することもないし行き当たりばったりの生活を続けてしまうこともあるのです。
どう見えるか期待をせず杓子定規を取る。
映画の中では、のほほんと暮らしてきた北島が枠の中へ出るべき機会がたくさんやってきます。
「東京の大学などあり得ない」「地元で就職すべきだ」という決めつけをやめて娘を東京へ出すべきか。
今まで良かれと安住してきた「娘とのビミョーな距離感」をぶち壊す時なのではないか─。
居心地良くて安心して疲れない「枠」から出ることで現状を変えられるのではないか。
もしかしたら第一歩は目の前にある自分が「タブー」だと思っていることを破ることであり
「コンビニオーナーが営業中に酒飲む」という大きなタブーを犯すことにあるのかもしれません。
ホラ飲めよと佐藤から酒を出された北島。口をつけるか、突っぱねるのか。
「北島飲め〜!飲んじゃえ〜!!🍻」と画面越しにエールを送ります。
そのタブーを破った時にある奇跡が起こるのです…。✨
佐藤の言葉がグッと刺さった人は今がちょうどその「杓子定規」を取り払い、
自分の知っているテリトリーから出る時なのかもしれません。
\誰にでもあるコンフォートゾーンから抜けるヒント/ www.tekitou-bliss.com
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田舎の人情ほっこり映画かと思いきや、鋭い観点から人間心理をえぐり取った熱い映画で面白かったです!
「水曜どうでしょう」のあの大泉洋さんがもしいたら、「オシャレのオの字もねぇ、ボコられたモジャモジャ頭と厳寒の北海道しか出てこない映画」とでも言いそうですw
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ぜひ一度ご覧ください。
※冒頭のラジオが流れるシーンでのあの聞き覚えある声はミスター(鈴井貴之さん)。