こんにちは。BlissBliss⋆*@テキトーでもうまくいくです。
37度を超える猛暑から一転、お盆になった途端に雨模様になってしまいました。
朝晩も涼しく熱帯夜から解放されそうです。
子供の頃から宇宙が好きです。
周りに民家もないようなド田舎に住んでいたので、望遠鏡がなくても星のツブが見えるほど星が綺麗だったのもあり、夜になると自宅の二階のベランダで満点の夜空と「星座早見表」を交互に見ていました。
(天体望遠鏡欲しかったけど、残念ながら貴重なお年玉はゲームボーイのソフトなどに消えました。)
大人になった今もちょくちょく湧いてくるそんな「宇宙熱」ですが、
今回は2冊ご紹介します。
宇宙からの帰還/立花隆
「地球は青かった」「私はカモメ」
誰もが知っているこれらの名言は、ソ連の宇宙飛行士によるものだ。
だから何?と言われてしまえばそれまでだが、日本人の宇宙のイメージはNASA、アメリカに大きく影響を受けている節が少なからずある。
今の宇宙飛行士って、ロシアのバイコヌール宇宙基地って所から、ロシアの宇宙船「ソユーズ」に乗って宇宙ステーションまで行っているんだよ、って聞いても「・・へ?何それ」ってのが率直なところだろう。
いまだに「スペースシャトル」は現役だと思いたいし、NASAが配信するニュースはワクワクする。
当初は宇宙開発の分野ではソ連に遅れを取っていた。
ソ連の宇宙開発に遅れること10年、アメリカはアポロ計画を推し進め、たくさんの宇宙飛行士を宇宙に送り出した。
そしてアポロ11号では、ついに人類史上初めて月面着陸を成し遂げる。
この本は、81年に立花隆氏がアメリカに渡り、アポロ計画で輩出された宇宙飛行士一人一人をたずねてインタビューしたものをまとめたもの。
一言で言うなら、「あの人は今」よろしく、立花氏が引退したNASAの著名な宇宙飛行士に「宇宙行ったら人生観変わった?」ってことを聞いて回った本。
ご存知あの月面着陸したアポロ11号の船長・アームストロング船長と、映画『アポロ13』の船長であったジム・ラベル船長ぐらいしか知らなかったので、有名な人無名な人含めてこんなにたくさんの宇宙人が宇宙へ行っていたのかと驚く。
宇宙飛行士のほとんどはミッションの中で月を目指して宇宙へ行っているため、宇宙から見た地球の姿や、漆黒の闇の宇宙空間、月に向かうに従ってバスケットボールのように小さくなって行く地球も見ている。
船外活動では宇宙服と命綱だけで宇宙にポンと出されて、真っ青な地球を取り囲む宇宙空間の「究極の闇」を体験することができるという。この辺の実体験の話なども興味深くワクワクさせてくれる。
宇宙に行ったからといって、誰もが感動したわけでもなく、十人十色で「別に感動はなかった」と一蹴してしまう人もいる。
宇宙から見た地球を壊れそうなほど脆い存在だと感じた人もいれば、地球を力強く躍動する存在に感じた人もいる。
人生観がまるで変わって帰還後に宗教に信仰を求めたり、スピリチュアルな世界に身をおいた人もいる。そして私はこの手の人の体験談が印象に残っている。
冒頭の「地球は青かった」の名言を残したガガーリンだが、もう一つ「宇宙に神様はいなかった」という名言も残している。
我々日本人にはあたり前すぎることだが、昔では、宇宙には神様がいて地球を見ていると信じる人が少なくなかったらしい。
いざ地球の外に出てみたら、だだっ広いひたすら闇しかない空間しか見えなかった時の心境はどんなものだろうか。
日本人宇宙飛行士に同じようなインタビューをした『宇宙から帰ってきた日本人|稲泉連』という本も読んでいるのだが、こちらの本では、野口聡一宇宙飛行士が語った「宇宙の闇」の姿が印象的だ。
ちなみに野口宇宙飛行士は「宇宙からの帰還」を読んで宇宙飛行士になろうと決めたとのちに語っている。
野口氏はISS(国際宇宙ステーション)の外に出て活動する「船外活動」のスペシャリストとして、何度か船外活動をする機会があった。
長細い人ISSの一番端っこ、人工的な建造物の突端に立っていると奇妙な感覚になるそうだ。振り返れば「無限の闇」がぽっかりと大きな口を開けていて、自分の外には人はおろか人工的な物が何一つ存在しないという感覚─。
ビビリの私にはゾッとするような恐ろしさ。同時に見てみたい気もする。
文字通り文明の「先端」に立たされたその時の心境を語っていて、これもまたスゲー!と感心させられた。
話を「宇宙からの帰還」にもどそう。
最後の宇宙飛行士のエピソードは、その中でも異彩を放って凄まじい体験だと思う。
宇宙に行ったことで人生観丸ごと変わるというか、宇宙で強烈な「悟り体験」を得て、ブッダやインドの聖者と同じ視点を持ってしまった人の一人だ。
本の最後ではもう、インタビューの枠を超えてスピリチュアルな教えが続いて引き込まれてしまい、思わず何度か本のタイトルを見返した。(「宇宙からの帰還」に間違いなかった。)
宇宙の体験もそうだけど、宇宙の体験を超えた何かを垣間見ることができる本である。
ある宇宙飛行士は、「人類みんな一度は宇宙に行って、宇宙から地球を見る体験したいいって絶対。そしたら争いごとや戦争がなくなるから。」みたいなことを言っていますが(もちろんこんな乱文ではありません)、本当にそう思う。宇宙行ったことないけど。
宇宙飛行士の名前がどれも日本人には馴染みが薄く、おそらくチンプンカンプンになると思うので、予備知識として映画の『アポロ13号』ぐらいは観ておきたい。
『アポロ13号』ではオシッコを船外へ放出すると瞬く間に凍って、宇宙空間にキラキラと飛んでいくシーンがあるんだけど、13号のクルーが本書でもそのことを語っている。
何か面白いって、宇宙では慣性の法則が働いているから、一度宇宙船から捨てられた「オシッコ」は凍ったままキラキラと宇宙船の周りにまとわりつく。「オシッコクラウド」の誕生の瞬間である。
そして地球に帰還するまで宇宙船の側から離れない。太陽の光を受けて「七色の雲」のように反射して、宇宙船の窓から見ると信じられないほど美しいという。でも多分臭い。地味についてくるオシッコ。ちょっと嫌だ。
ちなみにISS(国際宇宙ステーション)ではオシッコは水資源として再利用されているそうだ。汚い!と思うなかれ。特殊フィルターで十分に濾したものを利用している。ISSの中は超リサイクルな空間なのだ。
生きているのはなぜだろう/作・池谷裕二 画・田島光二
絵本のような本で、内容は大人でも十分楽しめる本。
ただ夏休みの読書感想文用に読むのはやめておいた方がいい。きっと後悔する。
(感想文書いても400字詰の作文用紙一枚分も埋まらないはずだ。何よりお母さんが困ってしまうだろう。)
ある日「僕」はケガをして保健室に行く。カーテン越しに西日が差しこみ、机をオレンジに照らしている午後の保健室。ここの描画だけでもう胸がキュンとなる。今風の言葉で言うと「エモい」
そして保健室の先生がエロい。
手当てをしてもらいながら保健室の先生と対話する僕。このエロガキめ。
田島光二氏が描く、繊細で圧倒的な光の描写に、息をのむとはまさにこのことである。
ところが風景は一変する。
僕の目の前から保健室が消える。
ページいっぱいに広がる渦、深い海、やがて宇宙、そしていのちのリレー。「秩序」の神秘…。
これは多分読む本ではなくて感じる本であり、「考えるな、感じろ。」をそのまま表した本ですね。素晴らしい。
色即是空、空即是色。
詩的でありながら、言葉は要らないぜ。ないのちの旅がスタートする。
最後のページを閉じた瞬間、涙が溢れて止まらなかった。誰かに見られたらマズい。
美しい絵によって、アトラクションのように読者の意識を宇宙まで拡大させ、揺さぶりをかけてくるヤバい本である。
BGMにはモーツアルトのアリア『Sull'aria』を流すといいだろう。飛ぶぞ。
作者の池谷裕二氏は、脳科学者として第一線を行くバリバリ理系畑の研究者だけど、ちょいちょい人智や科学を超えた、内的な世界や神秘さを匂わせてくる。
池谷裕二さんの主な著書はほとんど読んでいる。『単純な脳、複雑な「私」』『進化しすぎた脳』は、手に取るまで科学本だと思ってたけど、読んだら人生観がコロッと変わるほどの衝撃を受けた本である。
私の中で、期待されていたエースじゃなくてノーマークの選手がサクッと金メダル取っちゃった、みたいな衝撃だった。
それ以降、池谷氏は抽象性あふれる感性をお持ちの方だと感じている。
書かれた本はどれも、私たちが日頃感じる「フワッとしたこと」をロジカルに分かりやすく書かれていて面白いのでおすすめだ。
唐突に、映画『ツリー・オブ・ライフ』が頭に浮かんだ。あ〜あの映画を観終わった後のようなあの感じ。
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お盆期間中はどうやら雨模様のようで、夏の夜空は見えないかもしれない。
あいにくお盆期間中は雨の予想なので天から「おとなしく自粛しろ」というメッセージと受け取りましょう!
ならば本でも読みながら宇宙に想いを馳せてみてはどうでしょうか。
大雨による土砂災害など警報が各地で出ているので、対象地域の方はくれぐれも気をつけてください。
ではでは。