人間と共存しつつも謎の多い動物たち。
動物園でおなじみの動物たちの”残念すぎる生態”について面白く伝えた『ざんねんな動物図鑑』は昨年ベストセラーとなりました。
あえて動物たちのかっこ悪いマイナス面を取り上げて図鑑にしたことで、子供たちの心をグッと掴み子供むけ図鑑としては異例の大ヒットとなったようですね。
動物たちは自らが置かれた環境に見事に適応しているかと思いきや、DNAはどこで進化を間違えたのかざんねんな進化をとげてしまった個体にへぇ〜となったり、なるほど〜と唸ったり。
そんな”ざんねんな動物ブーム”とは一線を画する本があります。
おなじみSuicaのあのペンギンのデザイナーでもある、さかざきちはるさんの著書「ペンギンは短足じゃない図鑑」です。
ていうかペンギンって足が長かったの??とカウンターパンチを食らわす表紙のイラストに「ペンギンは短足じゃない」のメッセージ。字体はゆるっとしていますが秘めたメッセージ性は非常に力強いです。
ペンギンの骨格には畳まれている足の骨を見ると確かに長いではありませんか😱!
そうです。ペンギンは鳥なので実は足も首も長いことは意外と知られていない事実かもしれません。
なぜなら体を覆い尽くすあのぽってりとした脂肪のザブトンに覆われているため、埋もれて見えないだけなのです。
ペンギン=短足と言った人出てこい!
…とペンギンさんたちからお怒りの声が聞こえてきそうです。
動物園や水族館などでは首をにょ〜〜んと長く伸ばしているペンギンを見ることができます。
南極などの極寒の地で暮らし水に潜る習性のあるペンギンは、体から熱を奪われないよう、たっぷりの脂肪で樽のようにまん丸に進化することで寒さに適応してきたと言われています。
2本足でヨチヨチと歩くペンギンのイメージですが、海に潜ると一変し、フリッパーと呼ばれる翼を自在にコントロールしてスイスイ泳ぐことが得意です。
なのでペンギンの名誉のためにペンギン=鈍臭いというレッテルも止めるべきではないでしょうか👍
「ペンギンは短足じゃない図鑑」では、Suicaペンギンを思わせるゆるふわな線と白と黒しかないペンギンのイラストとともに、知られざるペンギンの種類やライフスタイルにも触れています。
かつてタンカーの事故によって何万トンもの原油が海に流出し、その一帯に暮らすたくさんのペンギンたちが命を落とすという悲しい事故があったのを覚えていますか?
油まみれで瀕死のペンギンたちを保護し、一匹ずつキレイに油を洗い落として海に還すという気の遠くなるような救出作業によって救われたペンギンたちもいました。
環境の汚染や資源の乱獲、さらには地球の温暖化によってペンギンたちは数を減らし、絶滅危惧になっているペンギンもいます。
南半球のチリやアルゼンチン、さらに極寒の南極に住むペンギンたちは、日本では動物園の中でしかその姿を見ることが叶いません。
なんでこんなに心がキュンキュンするのか─
そこにペンギンがいるからだ。
ご飯のことしか考えていないであろう小さな頭。焦点が合いそうで合わない澄んだお目目。
モッフリと潤沢な羽毛に包まれた丸いお腹は、機能性バッチリの魅惑の流線型。
美しいカーヴを描いたフリッパーは海の中では驚異の推進力を生み出し、陸に上がっても気に入らない奴に”ペチペチ攻撃”を食らわすことができる最強の武器です。
日本にペンギンが初めてやってきたのは明治時代でした。人のように見えたことから”
一度魅入られてしまったら最後、まるで遠距離恋愛で恋人を想うカップルのように、日本の反対側の大地で暮らすペンギンへの想いは募るばかり。
著者のさかざき氏は「ペンギン好きの道を歩き始める第一歩になれば嬉しい」と断言しているほど熱い意味が込められている図鑑でした。
「ペンギン道」を極めようと歩き出す人にこの図鑑はきっと役に立つでしょう。
NO PENGUIN, NO LIFE!
ではでは。