バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 (字幕版)
- 発売日: 2013/11/26
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痛快ですねこの映画。
ヤバい、早くも個人的「2017上半期ベスト映画」にランクインしました。
砂漠の乾いたようなアースカラーの色彩感がいいな〜。
ラスヴェガス近郊の砂漠にたたずむ、さびれたモーテル"バグダッド・カフェ"。
そこに現れたのは旅行中に夫と別れたばかりのドイツ人女性ジャスミンだった。
家庭も仕事もうまくいかず、常に"怒り"モードの女主人ブレンダは、
言葉も通じない珍客にストレスをつのらせるばかり。だが、いつしかジャスミンの存在は、
この店をオアシスのようにうるおし始めるのだった……。
コアなファンが多いミニシアター映画の金字塔
Blissはこのバグダッド・カフェを知らなかったのですが、
その手のサブカルな世界では知る人ぞ知る名作だったんですね。
舞台はルート66沿いのカラッカラに乾いた大地と、
バグダッド・カフェと名付けられたボロボロのモーテルとガソリンスタンド。
そこにあるボコボコのピックアップトラック。
※画像:バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 (字幕版)より
目の前は貨物列車やトラックが行き交う大動脈が流れていますが、
バグダッド・カフェ一帯だけは時間が止まったようにどうしようもない閉塞感に包まれています。
荒みきった生活を送るカフェのマスター、ブレンダ。
カフェを切り盛りしながら二人の子ども(+1人)を育てる生活はブレンダから余裕を奪います。
対照的な二人。ブレンダとジャスミン
バッハとACDC、ヨーロピアンコーヒーとアメリカンコーヒー。
ドイツの濃いコーヒー?に慣れているジャスミンには薄めのアメリカンコーヒーが口に合わない。
ジャスミンは仕立ての良いブラウスに鮮やかなスカーフをまとい、所作もエレガント。
旅行中とはいえリッチな階級なのは一目瞭然。
一方ブレンダは正反対です。
いつ買ったんだか分からないほどヨレヨレの寝間着のような姿。
いつも眉間にシワを寄せ、普段から神経質でヒステリックに怒鳴り散らしているのでしょう。
人は着ているもので生活のレベルの差を如実に表します。
ブレンダとジャスミンも例外ではなく、彼女たちの生き様がこの「服」に表れてしまう。
国も環境も人種も何もかも対照的な二人ですが、
深く傷つき、心がカラカラに乾いてヒビが入ってしまっているのは同じでした。
「コーリング」と「光の絵」
シンボリックなシーンがあります。
↓モーテルのジャスミンの部屋に飾られた「光の絵」。
Mr.コックスが「宇宙のサインさ!」と言っていましたね。
ここで主題歌の「Calling」のあの印象的なフレーズ「I'm Calling You(あなたを呼んでいるのよ)」と光の絵がリンクします。
はは〜ん、監督はこれを一番描きたかったんですよ。
そもそもコーリングって「London Caliing!」(ロンドンが俺を呼んでいるッ・・!)なんて使われ方が一般的ですが、
導かれるような受動的なニュアンスも含んでいるようです。
色々な偶然が重なり引き寄せられてきたジャスミンとブレンダですね。
宇宙からの声
はそこらじゅうに落ちている
「意味分からない」「オシャレ映画」「二人の友情ストーリー」etc..
色々な解釈があるかもしれませんが、
Blissはこれはまさしく「宇宙のサイン」のストーリーだと思っていますよ。
あの二つの光は何を象徴しているんでしょうかね。
ブレンダとジャスミン?
ジャスミンと○○?
それともジャスミンが実は宇宙の・・
想像は膨らみます。
↓最近、宇宙からのサインの話を書き始めた。
↓「サイン」を道連れに旅を続けるスペイン人少年の物語
こんな映画があったとは。
もっと早く知りたかったなあ。
映画って絶妙なタイミングで目の前に現れたりするものだと思っているので、
まだ観る必要がないときは映画そのものを知る事がないんです。
(何を言っているのか分からないと思うが・・)
Blissにはちょうど今観るタイミングだったんでしょう。
まさに「コーリング」されたのかも。
心の底がじわ〜っと暖かくなるハートフルムービーでした。
ではでは。