前田敦子さん主演のもらとりあむタマ子を観ました。
カンタンなあらすじ。
地元甲府のスポーツ用品店「甲府スポーツ」の次女、タマ子(前田敦子)が、
東京の大学を出て実家に戻ってきたところから話は始まります。
実家に居候の身でありながら何をするわけでもなく毎日マンガを読むか喰っちゃ寝するかの自堕落な生活を続けるタマ子。
寝間着のまま居間から一歩も出ずTVを見ては文句を言ったりと、自分のことは棚に上げて口先だけはいっちょまえ。
タマ子の自堕落ぶりに見かねた父はなんとかしようとハッパをかけますが、タマ子は父の助言にも耳を傾けようとしません。
そんなある日、離婚してから長らく独り身だった父に再婚の話が持ち上がります・・。
さてどうするタマ子!!
「訳あって東京から田舎に戻ってきた馬鹿娘。実家に「寄生」して自堕落な生活を送る娘を心配しながらも適度な距離で見守る家族。」
この構図どっかで観たな〜と思ったら、坂井真紀さん主演の「ノン子36歳(家事手伝い)
」を彷彿とさせる感じでした。
随所に日本のどこにでもある「ウチの実家」をこれでもかと余すところなく写します。
立て付けの悪い玄関、狭くて古い台所、薄汚れた砂壁の部屋、
父ちゃんの作るカレー、ゴーヤチャンプル、晩酌のビール、
40年は使っているだろう年季の入った扇風機・・
もうね、
あまりうちの実家を写さないでくれー!と止めたくなるような清々しいくらいの実家感に圧倒されます。
Blissも最初出戻り組として帰ってきたときは家のボロさに自分の敗北感を投影して、何とも言えない陰鬱な気持ちになりましたが、
どんなに着飾って自分を偽っても実家には自分の原点を知ってしまう何か不思議な力があります。
ン十年前で時が止まったかのようなタマ子の実家は、ちっとも前に踏み出せないタマ子をさらに堕落させタマ子の人格まで変えていくことに!
ニートあるある1;父ちゃんの小言はスルーか逆切れする
映画「もらとりあむタマ子」には影の主役とも言うべき存在がいます。
ニートタマ子をはんば諦めの表情で見つつも温かく見守る偉大な父ちゃんの存在です。
この父ちゃんがよくぞ見つけて来た!と言いたくなるような適役でスゴイ存在感を放っています。
ドラマに出てくる、そんな父ちゃん現実にいないわ!とツッコミたくなるような小綺麗な父ちゃん像を真っ向から否定するかのようなあまりにも現実感たっぷりの父ちゃんの姿。
「甲府スポーツ」の寂れた雰囲気と融合し、父ちゃんの小さな背中には店を続けていく決意と諦めがヒシヒシと伝わって来ます。
一人で店を切り盛りする父ちゃん。
洋品店にスポーツ道具を買いに来るハツラツとした中学生の姿と一方で、居間のコタツのある居間で毎日寝腐っているタマ子の姿と重ねたことでしょう。
身を粉にして働いてやっと娘を東京の大学まで出してあげたのに、あっさり帰って来て働きもせず店を手伝いもせずゴロゴロ寝てやがる娘を、心配しつつも温かい目で見守ってくれます。
男親なので母親のようにああしろ、こうしろ、と口数は多くありません。
口数が少ない分、父ちゃんが仕事の合間に出すごはんにしっかり愛情が込められているのが分かります。
そんな父ちゃんの心配を知ってか知らずか出されたごはんをしっかりと平らげ、
今日もふてぶてしく実家のコタツでゴロゴロするタマ子。
段々と季節は変わっていき・・
仏の顔も三度まで、温厚な父ちゃんの顔も三度まで
見かねた父ちゃんはある時タマ子にハッパをかけますが、タマ子は逆切れすることでその場を切り抜けます。
口だけは偉そうなタマ子に何か言ってやりたくてモジモジする父ちゃん。でも言えないもんなのでしょうか。
男親ゆえの葛藤というのが見てるこっちにもヒシヒシと伝わって来ます。
タマ子にガツンと言ってやれ父ちゃん。
ニートあるある2;同級生を見たらそっと逃げるが勝ち
季節は移り変わり夏。
季節なんて関係ないニート生活を送るタマ子には地獄のような試練が待っています。
同級生がこぞって帰ってくる「帰省シーズン」がやってきます。
都会へ出た同級生がお盆を前に一斉に帰ってくるわけですね。何が起こるかわかりますね。
会いたくもないリア充同級生と
地元に戻ったニートにとって同級生(しかもなんか順風満帆そう)とばったり会ってしまうのは最大の
悲劇はタマ子が通りかかった公園で同級生を見つけるシーンからスタートします。
顔を背けて同級生の前をそ〜っと通り過ぎようとするタマ子。
結局まんまと同級生に発見され部屋着のままだったことに気づく間もなくタマ子は同級生から「いつ帰ってきたの〜?」と質問攻めにあいます。
この状況、分りすぎて辛い。
いつ洗濯したのか分らない襟口がよれよれの部屋着を着て見るからにニート感たっぷりのタマ子に対し、
たった今帰省してきたばかりだという同級生の「ワシオさん」は、手入れの行き届いたサラサラの長い髪を揺らして身なりもオシャレでキラッキラに輝いている。
シーンではニートのタマ子と帰省したリア充の対比が上手に描写されていましたね。
順風満帆なワシオさんを申し訳なさそうに仰ぎ見るタマ子にはさすがに同情を隠しえません。
さらにそこへ、追い討ちをかけるように別の同級生達の車が通りかかります・・。
あちゃ〜〜!
逃げてタマ子!そこにタマ子の居場所はないぞ!
さてこの泣きたいほど恥ずかしい場面を切り抜けられるのでしょうか。
(※ところがこの後、もう一度駅でワシオさんと再会するのですが、このシーンと絶妙な伏線を含んでいて面白かった。それは是非もらとりあむタマ子を観て感じて下さい。)
ニートあるある3:ニートなのになぜか偉そう
友達のいないタマ子が唯一子分としてアゴで使える存在の中学生、
仁が実家の甲府スポーツに来たことからタマ子との変な師弟関係(?)が生まれることに。
気弱で優しい仁は自己愛が肥大しまくったタマ子の無茶ぶりに文句を言いながらも、指図をハイハイ聞いては実行してくれます。(中学生の仁にさえ「あの人友達いないから」と同情されている)
タマ子、お前そんなこと言えた義理じゃないだろう、と父ちゃんに一喝されそうです。
仁もどことなく陰のある感じで、同じ境遇同士どことなく惹かれ合うんでしょうか。
不思議な絆が印象的です。
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素直に前田敦子さんの演技力に驚きました〜。
勝手な偏見でアイドル出身の方だし、棒読みなんじゃないかと演技力を舐めていたのですがそんな色眼鏡はこれ観ると吹き飛びます。
寝間着にボサボサ頭、それに実家の年季の入ったコタツというアイテムは、前田敦子さんほどの瑞々しい美人でも残念な姿に塗り替えてしまう破壊力があり、アイドルから実家に寄生するニートを演じる姿は見事。
親として子供がいる身としては思わず「起きろ〜働けボケ〜!!」と怒鳴ってしまうほどイラつく姿へと変貌します。(笑)
蒸し暑い夏の夜にいかがでしょうか。
同じ元AKBの大島優子さんの主演映画「ロマンス」も必見!
↓もう一人、前田敦子さんと双璧をなす元AKB48の大島優子さん主演の映画「ロマンス」もオススメ。
ロードムービーのようなストーリーで、大島優子さんが新宿〜箱根行きのあの特急「小田急ロマンスカー」のアテンダントに扮して、タマ子と同じように崖っぷちに立たされる女子を見事に演じています。
映画「ロマンス」は大好きでなぜか何度も見てしまう不思議な中毒性があるんですよね。
箱根の名所やロマンスカーに乗ってまるでロードムービーのように展開していきます。
こちらは観終わった後清々しくどこか切なさも残り、でもなぜか元気になる映画です。
こちらもオススメ。